Q.
抵触日があいまいで二転三転します。
当初の抵触日2018年10月1日が、直前に派遣元から「経過処置という考え方のため延期した」と言われて、半年延期になりました。
当初から契約書などに抵触日の明示はありません。
これは違法でしょうか?違法だとすると効果的な通報先や相談先はありますか?
回答日:2019/03/20
ご質問の趣旨は、あなたが2015年7月から、派遣先に派遣されていたところ、契約書には抵触日の記載がなかったものの、Eメールにて抵触日は2018年10月1日と連絡されていたのに、抵触日が延期されたということよろしいでしょうか? 以下は、これを前提に回答します。
まず、派遣元はあなたと雇用契約を締結するにあたって、就業条件等を明示しなければなりません(労働者派遣法34条)。同法34条には、事業所単位、個人単位のいずれの抵触日も明示しなければならないことになっています。もっとも明示の方法は必ずしも契約書でない場合もありますので、Eメールで抵触日が知らされていたとすれば、明示があったということもできると思います。
当該義務に違反した場合、罰則も定められています(同法61条)。つぎに、派遣元が「経過処置という考え方のため延期した」という点ですが、抵触日からなぜ6か月も延期されたのか、ご質問内容からは私たちも分かりません。この点、抵触日の1か月前までに派遣先が過半数労働組合などの意見を聴いて事業所単位の派遣受入期間を延長する場合はありえますが、これは通常3年間延期するでしょうし、個人単位の場合はいずれにしても当該派遣部門では3年以上は働けませんので、6か月延期というのは、やはり分かりません。
もっとも本件で一番重要な点は、あなたが派遣先で働かれた期間から考えれば、抵触日は当初Eメールで連絡があった2018年10月1日と考えるほかないと思います。それが、半年延期された上で、現在も派遣されているとすれば、抵触日に違反している状況といえるかと思います。
すなわち、労働者派遣法40条の2によれば、派遣就業開始から3年を超えて働かせることができません(抵触日に触れます)。それを知っている、もしくは知らないとしても過失がある場合、当該派遣先は派遣労働者に対し、同一の労働条件で労働契約の申込をしたものとみなされます(同法40条の6)。
そうすると、あなたが抵触日を超えて派遣されている場合、労働者派遣法40条の2違反として、派遣先会社はあなたに対し、直接雇用の申込をしたものとみなされますので(同法40条の6)、あなたが申込を承諾すれば、あなたと派遣先会社との間に労働契約が成立したと考えることができます。
お住まいの都道府県の派遣ネット相談に登録している弁護士を紹介して、直接相談を受けていただくこともできると思います。
なお、派遣元や派遣先の労働者派遣法に定める義務に違反している場合、お住まいの労働局の職業安定部が所管となります(労働基準監督署ではありません)。