相談と回答「昇給を求めることはできないのでしょうか?」|派遣法改正から3年・あなたの“今”をお聞かせください|派遣労働者の皆様へのアンケート
派遣法改正から3年・あなたの“今”をお聞かせください

お寄せいただいたご相談と弁護士による回答をご紹介します

Q.

現在の派遣先に来て2年8か月になりました。今年の4月から無期雇用になったのですが、待遇面は一切変更点はなく、時給も頭打ちで今後上がらないと言われています。

時給が上がらない理由としては派遣元と派遣先の両社間で昇給等についての取り決めがあるとのことで、同じ派遣元から来ている人は業務内容に関わらず全て同じ条件と聞いています。

しかし同じ派遣元から来ている派遣社員でも配属された場所によって業務内容の差が激しく、単純作業のみの人と、お客様との電話応対から案件の完結までやらなくてはならない人がいます。

後者の方が精神的負担感も大きく、同じ時給では不公平感を感じますし、実際後者を任された人が続かずに辞めていくことが多い状況の職場です。

派遣会社の言う「派遣元と派遣先の両社間で昇給等についての取り決め」がある以上、これ以上の昇給等を求めることはできないのでしょうか?

回答日:2018/10/25

「派遣元と派遣先の両社間で昇給等についての取り決め」がある以上、これ以上の昇給等を求めることはできないとは直ちには言えません。

まず、派遣元は派遣先で同種の業務に従事する労働者の賃金水準とのバランスなどに配慮して、賃金を決定するように配慮する義務があります。派遣元に、派遣先で同種の業務に従事する労働者の賃金水準とのバランスに配慮し、業務内容に応じて条件を決定するように配慮するよう求めましょう。

つまり、昇給を求めましょう。また派遣元には、派遣労働者から求めがあったときは、派遣先とのバランスの取れた待遇を確保するために考慮した事項について、その派遣労働者に説明する義務があります。

例えば、派遣先から提供のあった派遣先の同種の労働者に関する賃金水準を参考にした、相談者様の賃金は派遣先の同種の労働者に関する賃金水準とどれくらい違う、なぜそのような差異があるのか、などです。

もし、派遣先に同種の業務に従事する労働者がいない場合は、同種の業務に従事する一般労働者と比較することになります。さらに、派遣元には、派遣料金に関する派遣先との交渉が派遣労働者の待遇の改善にとって極めて重要であることをふまえつつ、派遣先と交渉を行うことが求められています。「派遣元と派遣先の両社間で昇給等についての取り決め」の内容によっては、この交渉義務を果たしていないとも考えられるので、「派遣元と派遣先の両社間で昇給等についての取り決め」の内容を確認し、交渉義務を果たしていなければ、交渉義務を果たすように求めましょう。

1人では交渉が難しいと思われる場合は、労働組合(派遣元に労働組合がなくても、1人でも入れる労働組合があります)に加入することをお勧めします。

ちなみに、派遣労働者が、派遣先とのバランスの取れた待遇を確保するために考慮した事項について派遣元に説明を求めても、これを理由に、派遣元がその派遣労働者を不利益に取り扱うことは許されません。また、労働組合がそのような説明を求めたり交渉したりした場合は、そのことを理由に組合員である労働者を不利益に取り扱うことも禁止されています。

以上のように考えると、「派遣元と派遣先の両社間で昇給等についての取り決め」があっても、派遣元会社と交渉することによって、さらなる昇給等を求めることができる可能性があります。

» 「寄せられた質問と回答」一覧へ戻る

» HOMEへ戻る