Q.
今現在の派遣会社に登録されてから3月31日で5年が経ちこの7月1日から現在の派遣会社の無期雇用となりました。
無期雇用とは言っても期間だけが無期になっただけです。定年は60歳、待遇等は何も有期契約の時の変わりはありません。仕事内容は正規社員と全く同じです。
無期雇用なので3年の縛りはないとは思いますが待遇等正社員と同じようになるのでしょうか?
年齢も年齢なのでそんなに高望みはしていませんが、無期雇用になってよかったのかと疑問に思うところもあります。
回答日:2018/08/17
派遣会社の無期雇用となっても、待遇等について自動的に正社員と同じようになるということはありません。ただ、契約期間満了を理由に雇止めされる危険がなくなったという点で、雇用の安定は有期契約であったときとは格段の違いがあります。
安定雇用を背景として、派遣先の正社員と待遇を近づけるよう派遣元に要求していきましょう。
その際に根拠となるのは、派遣法30条の3です。この条文で、派遣元は、派遣先の正社員の賃金水準との均衡を考慮して派遣労働者の賃金を決定するように配慮することを義務付けられています。
また、派遣法31条の2第2項は、派遣労働者から求めがあったときは、賃金の決定にあたって考慮した事項について当該派遣労働者に説明しなければならないと規定しています。
この規定を活用して、正社員の賃金水準との均等を考慮して賃金を上げるように、また賃金を上げないのであればその理由を説明するように、派遣元に要求していきましょう。
なお、本年6月29日に成立した改正派遣法では、この30条の3がより派遣労働者に有利に改正されました。
この条文は、派遣労働者に対する「不合理な待遇の禁止」を定めており、基本給、賞与その他の待遇について、職務内容などの事情を考慮して派遣先の通常の労働者との間で不合理な格差を設けることが禁じられました。
また、派遣労働者の職務内容及び配置が正社員の職務内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれる派遣労働者については、正社員と同じ待遇にしなければならないとされました。
さらに、正社員との待遇差の内容・理由等について説明する義務が使用者に課せられることになりました。
この改正派遣法の施行日は2020年4月1日ですが、施行前であるからといって使用者は無視していいわけではありません。
このような改正法が成立したことを理由にして、使用者に対して、派遣労働者の待遇改善や格差がある場合の説明を求めていくことが事実上できます。
その際には、労働組合が団体交渉として使用者に要求するというのが最も効果的です。1人でも入れる労働組合も各地域にありますので、ぜひ探してみてください。