相談と回答「派遣会社の紹介料の高さに派遣先が直雇用を躊躇…これはそもそも適法なのでしょうか?」|派遣法改正から3年・あなたの“今”をお聞かせください|派遣労働者の皆様へのアンケート
派遣法改正から3年・あなたの“今”をお聞かせください

お寄せいただいたご相談と弁護士による回答をご紹介します

Q.

今年3年の区切りを迎える派遣社員がたくさんいます。初めは派遣先も直雇用を前向きに考えていただけていましたが、派遣会社が要求する紹介料の額の高さに考えを変えてしまったようです。

派遣先・派遣元の契約書の裏書に、直雇用の場合は年収の○%を支払うというものがあるそうなのですが、これは適法なのでしょうか?

ほとんどの派遣会社がやっているようです。これでは直雇用が進まないと思うのですが…。

回答日:2018/08/05

1 直接雇用の場合の紹介料について

派遣法33条は、雇用関係が終了した後に派遣先が直接雇用することを禁止してはならないと定めています。

紹介料を定めることは、直接雇用を直接禁止するものではございませんが、直接雇用を阻害するものといえますので、派遣法33条に違反すると考えられています(※1)。したがいまして、派遣元と派遣先の間の契約書に、紹介料に関する定めがあったとしても、効力がないと考えられます。

厚生労働省のホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000125633.html
にも、以下のような記載があります。

Q11:「派遣先が、派遣契約期間中または契約終了後に、派遣労働者を直接雇用することとなった場合に、派遣先から派遣元事業主に一定の金額を支払う」旨を規定し、労働者派遣法施行規則第22条第4号の紛争防止措置として派遣契約に定めることに問題はないか。 

A11:派遣先が派遣労働者に対して直接労働契約の申込みを行った場合に派遣元事業主と派遣先との間で設問のような金銭を受け取ることは労働者派遣法第33条第2項や、労働基準法第6条に抵触する可能性があり、問題である。

なお、派遣元事業主が、有料職業紹介事業の許可を有していれば、職業紹介手数料として徴収することは可能である。

もっとも、この点については解釈が定まっているわけではございません。派遣法33条に違反しないという考え方もあり得るところです。

また、仮に支払いの義務がなかったとしても、派遣先が、派遣元との信頼関係を気にするあまり、紹介料を支払うこともございます。

このような懸念がございますが、少なくとも、派遣先が派遣元と交渉を試みる価値は十分にあるかと思います。派遣先と派遣元に事情を説明されるなどして、交渉を促されてみてはいかがでしょうか。派遣先や派遣元の反応によっては、紹介料の減額の交渉もあり得ると思います。

また、話が変わりますが、派遣労働者を直接雇用した場合に活用できるキャリアアップ助成金という制度がございます。助成金を活用して紹介料の負担を軽減することも検討できるかと思います。

↓参考(厚生労働省のWEBサイト) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000201495.pdf

※1
派遣法33条は、雇用期間終了後の直接雇用に関するものですので、雇用期間中の直接雇用については適用されません。また、職業紹介(紹介予定派遣等)によって派遣社員を直接雇用する場合には、派遣元事業主に紹介手数料を支払う必要がございます(もっとも、紹介予定派遣の場合の派遣期間の上限は6か月とされております ので、質問者様の場合は該当しないと予想されます)。

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