Q.
派遣会社が直接雇用を打診してくれましたが先方に難色を示されて、ほぼ派遣切りにあいます。
3か月更新なので9月で契約更新になるのですが、直接雇用の未来が無いのであれば、9月から11月まで3か月延びても意味がないので、9月に退職したいと考えています。
有給を消化するためにほぼ出社することなく終わるため、引継ぎもできないと思います。9月と11月とで辞める際の不利益などはあるのでしょうか?
回答日:2018/08/01
次期契約更新を拒絶できるかについては、更新拒絶はできる、というのが回答になります。
まず、あなたが年休取得を請求する相手は、派遣先ではなく、派遣元です。なぜならば、あなたと雇用契約を結んでいるのは派遣先ではなく派遣元だからです。
次に使用者(この場合はあなたの派遣元)は、労働者からの年休取得の請求を拒否することは原則としてできません。使用者に許されている例外は、その労働者が休むと指定した日に休まれると事業の正常な運営が妨げられる場合に、「別の日」に代えて指定することができるということだけです(「時季変更権」と言います)。
しかし、この「事業の正常な運営が妨げられる」という事態として許されるのは非常に限定されており、例えば小規模事業所で殆ど全員が一斉に休んでしまうというような場合でなければ許されません。単に、人員が少なくなるから忙しくなるなどということでは時季変更権は認められません。
さらに、使用者は労働者からの年休取得請求を拒否することはできないため、退職を予定している労働者からの未消化年休取得請求は全て認めなければならなくなります。
そうすると、退職までの労働日数と未消化の年休の日数が同じ場合、使用者はもはや時季変更権を行使して指定できる「別の日」はないわけですから(なぜならば、退職日以降に働けとは言えないからです)、全て認めなければならなくなります。
ですから、あなたが退職(更新拒否)を明確にしたうえで未消化の年休を請求すれば、派遣元はそれを拒否できませんし、派遣先はそもそもあなたの年休請求に何の文句も言えないのです。
確かに、あなたが退職まで殆ど出勤しない状態になり、あなたが次の人に引継ぎができないとしても、派遣先に対して引継ぎの責任(それが法的な義務かどうかは、具体的な労働契約によるので、絶対にそれを負っているとは言えません)を負っているのはあなたではなく、派遣元です。
さらに、そもそも派遣先はあなたとは直接の雇用契約はないので、「11月まで働け」と言える立場ではありません。以上のように、例え派遣先が大激怒しようとも、あなたはそれに左右されることなく、9月の更新拒否ができるわけです。
次に、就労期間が3ヶ月伸びるかどうかで変わってくるのは、雇用保険の失業手当だと思われます。つまり、失業手当の給付日数(何日間給付が受けられるのかという日数)は、勤続年数によって変わって来るからです。
ですから、3ヶ月伸びることで給付日数の決定基準に変わりがあるかどうかを、事前にハローワークで確認されることをお勧めします。
ちなみに、蛇足かもしれませんが、有期契約の派遣を継続している場合でも、一定の条件が整っていれば、派遣労働者から派遣先に対して直接雇用にする方法があります。
ひとつは、派遣先の事業所単位での派遣可能期間を超えてあなたを派遣労働者として受け入れている場合であり、もうひとつは、あなたを同じ部署で3年を超えて派遣労働者として受け入れている場合です。
これらの場合には、派遣先はあなたに対して直接雇用を申し込んだことになり、あなたが直接雇用を受け入れると言えば、直接雇用となります。もしもあなたが派遣先との直接雇用を望む気持ちがあれば、それに該当するかどうかを検討することになりますので、改めてご相談ください。