相談と回答「業務に意見を述べたら雇い止め…許されるのでしょうか?」|派遣法改正から3年・あなたの“今”をお聞かせください|派遣労働者の皆様へのアンケート
派遣法改正から3年・あなたの“今”をお聞かせください

お寄せいただいたご相談と弁護士による回答をご紹介します

Q.

私は、大手派遣会社と雇用期間2ヶ月の雇用契約を締結し、更新を繰り返して、物流・倉庫関係の会社に派遣されて約4年が経過しました。

私より先に派遣された労働者の就労期間が3年を経過することから、3か月程度、派遣から業務請負に切り替わったことがありますが、時期は忘れました。

平成28年12月に派遣元から雇い止めの事前通知をされ、派遣先にも同じ内容の通知がなされました。

雇止めの理由は、私が派遣先で、(1)夏場にクリーンルーム内での作業ができなかったこと、(2)昨年の秋頃派遣先の業務の一部変更について意見を述べたこと、でした。

しかし、(1)については、クリーンルーム内の作業は1日1~2時間程度の付随業務ですが、私が毎日服用している薬と猛暑の影響で、軽い脱水症状になりかけたことから、派遣先の上司に相談し、上司の指示で夏場は別の作業をすることにしてもらいましたが、秋からはその業務を再開しています。

(2)についても、その作業を拒否するということではなく、開始前の説明時に改善の要望を伝えただけであり、派遣先の上司が可能な範囲で対応し改善してくれたため円滑な作業ができるようになりました。

このような雇止めは許されるのでしょうか。

回答日:2018/03/22

1 有期労働契約の雇止めの効力について、労働契約法19条2号が定めています。労働契約法は、有期労働契約の期間満了後も「雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合」で、「使用者の雇止めの意思表示に対して、労働者が何らかの形で異議を唱えている」場合であって、雇止めに「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は雇止めが無効になると定めています。

2 本件の雇止めの理由とされている、(1)(夏場にクリーンルーム内での作業が出来ないこと)については、派遣先の上司の了解をとっていたのですから、あなたには落ち度はありませんし、(2)(業務の変更について意見を述べたこと)についても、作業を拒否したわけではなく、改善意見を述べただけですから、それを理由に不利益な取り扱いをすることは不当です。

よって、(1)(2)の理由だけでは雇止めをする「客観的に合理的な理由を欠」いていると思われます。

したがって、派遣元とあなたの間の有期労働契約の雇用期間が満了した後も「雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められる場合」には本件雇止めは無効となります。

ただし、あなたは雇止めの無効を主張するためには雇止めに対して何らかの形で異議を述べておく必要があります。

3 「雇用継続の合理的な期待」があったといえるかどうかは、業務の内容(臨時的、一時的なものか否か)、更新の回数、勤続年数、更新手続がきちんとなされているか否か、継続雇用を期待させるような使用者の言動があったか等の諸事情を総合考慮して個々の事案毎に決まりますので、これらの事情について詳しく検討する必要があります。したがって、弁護士に相談されるのがよいと思います。

4 また、途中3か月程度、派遣から請負契約に切り替わった時期があったということですが、派遣のときと実態が全く変わらないのに契約の形式だけが請負に変わったということであれば、「偽装請負」になります。

平成27年9月30日に施行された改正派遣法は、同日以降に派遣先が派遣法の適用を免れる目的で派遣元との間で偽装請負をした場合には、派遣先がその労働者に対して労働契約の締結の申込みをしているとみなされて、偽装請負が終了した時点から1年以内に労働者が派遣先に対して、派遣先との労働契約の締結を承諾する旨を伝えることによって派遣先は直接雇用しなければならないことになっていますので、偽装請負がいつ終わったのかを確認して下さい。

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